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鳩山一族が大金持ちである理由


 音羽にある鳩山邸のすぐ近くに住んでいたことがある。歩いて5分程度の距離だ。犬を連れて鳩山邸の裏道を毎日のように歩いた。裏道には高い塀が続いていた。塀の長さは50メートル近くあったのではないかと思う。とてつもなく広い邸であった。すぐ近くには、パイオニアの創業者や美智子皇后陛下の生家の邸もあった(今は両方ともない)。そうだ、思い出してきた。他にも有名人の邸はいくつかあった。例えば中村勘九郎(今は名前が変ったんだっけ)姉弟、北の富士、畑村洋太郎、山田五郎の家もあった。
 北の富士は毎朝散歩をしていて、よく見かけた。散歩の最後は近くの豆腐屋で、いつも豆乳を飲んでいたな。私もたまに豆乳を買い、店で一緒になることもあった。畑村洋太郎さん(東大名誉教授、失敗学で有名)とは犬の散歩仲間であった。散歩仲間で忘年会を開いたこともある。
 ちょっと自慢げになってしまうが、つまりかなりの屋敷町だったのだ。といっても私は何も自慢できることはない。ただたまたま、住んでいただけだもの。
 その屋敷町でも鳩山邸はひときわ大きな邸であった。

 なんであんなに大きな家に住めるのか、その頃から不思議に思っていた。確かに日本を代表する政治家ファミリーである。でも政治家って、そんなに儲かる仕事なのだろうか。
 『鳩山一族 その金脈と血脈(佐野眞一)』を読んで、ようやく長年の謎が解けた。なぜあれだけの金持ちなのか。その理由は以下の通りであった。主に3点に絞られる。
 第一は、鳩山家は4代続いた政治家ファミリーであったということだ。2,3代はあるかもしれないが、4代続けて政治家を輩出した家は稀である。2代目の一郎は当然有名だが、初代目の和夫はあまり知られていない。しかし和夫こそが鳩山家を語る上で、最も重要な人物である。特異なこのファミリーの性格を形作ったのは和夫なのだ。
 和夫は東大の前身である大学南校を首席で卒業、大学初の公費留学生としてアメリカに留学している。帰国後は日本初の弁護士事務所を開設。非常に繁盛し、ここでまず一財産を築く。そしてまだ草深かった音羽の高台に二百坪の土地を買った。これが音羽御殿のルーツとなる。その後、次々に買い足していく。
 弁護士家業を続けながら、衆議院議員にもなる。連続9回当選し、衆議院議長も務めた。こちらでも当然、収入はあっただろう。
 和夫は弁護士や政治家としてだけ、稼いでいたわけではない。もうひとつの顔を持っていた。北海道の原野を政府から払い下げを受け、小作を住まわせていたのだ。地主としての顔だ。土地は広大で、広さは82万坪。東京ドーム58個分であった。
 地主としては非常に冷酷で厳しかったようだ。著者の佐野は、「まるで中世の荘園を思わせる絶対的な支配権力」を屈指していたと書いている。
 続くのは一郎だ。一郎も東大法学部を8番の成績で入学し、3番で卒業した。これ自体、すごいことだが、鳩山家では一郎はできの悪い息子であった。なぜなら一郎には弟がいて、この弟は東大開校以来の秀才といわれていたからだ。
 さて蓄財についてだが、一郎は政治家としては頂点を極めたが、こちらは特に大きな貢献をしていない。あえて言うならば、次の威一郎に財産を減らさずにバトンタッチしたことだろう。
 続いて、威一郎。こちらも東大法学部を一番で卒業し、大蔵省に入省。最後は官僚トップの事務次官まで上り詰めている。その後は参議院議員となり外務大臣を務めている。
 政治家としては、鳩山ファミリーの中では精彩を欠いた感のある威一郎だが、蓄財ではファミリー最大の貢献をしている。大金持ちの娘を嫁にしたからだ。ここはよく知られたことなので、ご存知かもしれない。妻の安子はブリジストン創業者の石橋徳次郎の孫で、莫大な資産を継承した。軽井沢の別荘も、この石橋家がらみで入手したらしい。
 そして現在の鳩山兄弟である。この二人も東大卒。兄の由紀夫は工学部、弟の邦夫は法学部を卒業している。二人とも学業優秀な兄弟である。私は知らなかったのだが、あの見た目はちょっと亡羊としている邦夫は鳩山家の頭脳を正しく継承し、最優秀な学生であったという。あまりに成績が良すぎて、弟と比べられることを避けるために、由紀夫はあえて工学部を選んだほどだ。蓄財とは離れるが、初代の和夫、一郎の弟(秀雄)、威一郎、邦夫と4代続けて東大を首席で卒業している。確かに頭の良さは、折り紙つきである。
 しかし蓄財については、この二人も特に貢献しているとは言えない。一郎同様に政治家としては活躍というか、出世はしたが、マネーメーキングにはあまり興味がないらしい。しかし、これも一郎同様に資産を死守するという面では極めて優秀な二人である。ここからは鳩山家が大金持ちであり続ける、第二の理由に入る。

 第二の理由は、ファミリーは4代を通じて、資産を誰も浪費していないことだ。ひとりぐらいおっちょこちょいがいて、資産を食い潰しても良さそうなものだが、それがいない。
 また政治家であれば、ときに身銭を切って、子分達に振舞うべきときもあるだろう。新たな政党を立ち上げれば、その原資を自ら出す必要もあるだろう。しかしこのファミリーはそれらをまったくしてこなかった。これが、田中角栄や他の政治家との一番の違いかもしれない。ちなみに田中角栄と鳩山一郎はほぼ同時期に死亡した。残した財産もほぼ同じ額、たしか200億円弱である。しかし、角栄の相続税を払うために真紀子は目白の邸の一部を売却した。鳩山邸は無傷である。
 角栄は、子分の面倒見がよい政治家として有名であった。金策に労している子分には惜しみなく札束を与えた。鳩山ファミリーはこれがない。自分の子供には、莫大な資産を残すのだが。
 この伝統は由紀夫、邦夫も守り続けている。由紀夫は総理までも務めたにも拘わらず、なおかつ大資産家にもかかわらず、身銭を切らない。例えば新党さきがけを結党したときには2億円を出資している。しかし離党する前に、ちゃんと取り戻した。また旧民主党結成の際にも15億円を出資したが、政党助成金により、しっかり返還を受けている。つまり金を出しているように見せて、実はまったく出していないのだ。見せ金なのだ。

 第三の理由は妻達にある。実は鳩山家は女系家族といわれているのだ。そのぐらい妻達が強く、優秀であった。
 やはり蓄財といえば妻である。浪費家の妻を持って財産を築くことは不可能だ。夫の方は多少金遣いが荒くとも、妻がしっかりしていれば、家計は安泰である。家の財産は実は妻が築き上げるものなのだ。
 この第三の理由が、おそらく鳩山一族の蓄財を語るうえで鍵となるであろう。そしてこれは偶然、優秀な嫁が続けて嫁いで来たわけではない。すべて計算づくの嫁選びなのだ。その面では男達に慧眼があるといえる。
 初代目和夫と二代目一郎の妻は、才女として誉れ高い女性だったと。威一郎の妻、安子は学業の方は分からないが、威一郎も頭が上がらないほど賢い女性である。そしてあの相続財産だ。現在はファミリーのゴッドマザーとして、君臨している。
 ただしこれらの話は3代目までだ。由紀夫の妻である幸(みゆき)、邦夫の妻エミーは、優秀とはいえない。強くはあるが(と本に書いてあった)。おそらく鳩山王朝は4代目で終わるだろう。もっとも大きなファクターである嫁選びで、ふたりは家訓を守ることができなかったからだ。

 本を通読して感じたこと。確かに学業は最優秀のファミリーである。よくこれだけ優秀な頭脳が引き継がれてきたと驚くほどだ。しかし人間的な魅力は誰からも、何も感じられなかった。初代目からずっとそうなのだ。はっきり書くと、どいつも、常に嫌な奴らだ。自己本位、卑怯、狡猾、異常なまでの上昇志向。次男である秀雄や邦夫は、どこか間の抜けたというか人の良さを感じさせるところもなくはないが、嫡男はそろってこの性格を継承している。

 嫌な奴らでなければ、金は残せないということであろうか。ちょっと寂しい結論で、申し訳ない。

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プロフィール

山本 拓也

Author:山本 拓也
職業:翻訳者
過去の職歴:HSBCを経て産経新聞社
家族:妻、フクちゃん(猫オス 3歳)、大吉くん(猫オス 2歳)
住まい:逗子

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