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はじめての特養


 昨日、はじめて特養、つまり特別養護老人ホームに行ってきた。知人が二か月前から入所しており、見舞いというか遊びに行ってきたのだ。
 その特養は僕の散歩コースの途上にある。すごく立派な外観である。実は知人が入所するまで、そこが特養だとは知らなかった。私立の豪華老人ホームだと思っていたのだ。
 昨日はいつも通り、散歩をしていて特養の前を通り過ぎた。そのとき知人から「絶対に遊びに来てよ」と言われた言葉を突然に思い出した。前から行かなくちゃと思っていたが、3月は忙しかった。4月になって時間ができたら行ってみようと思っていた。それで踵を返し、特養の豪華ゲートをくぐったのである。
 特養は驚きの連続だった。もしかしたらそこはちょっと異例なのかもしれない。他を知らないので、そこのところは分からない。ただ昨日の場所を見ただけの経験であるが、特養は僕の持っていたイメージとまったく違う場所だった。
 まず入り口から驚かされた。建物に入るとまず受付がある。知人の名前を告げ、面会の書面に記入した。その書面には、面会者のつまり僕の健康状態を書かなくてはならなかった。下痢、発熱の有無を記入する。よく見ると、家族に病気の人がいないかまでも問われている。驚きながらすべて「否」にチェックした。
 記入が終わると受付の女性が体温計を差し出した。これで体温を計れというのだ。まるで診察を受けに来た病院だ。測温が終わって体温計を渡すと、今度はうがいと手洗いをするよう促された。見ると近くに、洗面所がある。ガラガラとうがいをし、手をきれいに洗い終わる。すると最後にマスクを手渡された。建物の中では、マスクをしなくてはならないらしい。
 厳しい検問を通り抜け、ようやく面会に向かう。知人は二階の大部屋にいた。大部屋は病院の大部屋と、作りは基本的に同じだ。ただスペースは若干広い。24時間の生活の場なのだから、このぐらいの余裕は欲しいものだ。清潔で明るい部屋だった。
 その後、知人と約一時間話をしたのだが、その内容はまた驚きの連続だった。色々あって、書ききれないので、いくつかをかいつまんで書く。
 まずお風呂。お風呂は毎週2回入れるらしい。風呂場までは車いすの送迎付きである。風呂に入ると三助のような人がいて、頭と背中を洗ってくれる。入浴は介助付きだ。
 知人はついこの間までひとり暮らしをしており、そのときは当然自分ひとりで風呂に入っていた。でも特養では三助付き、介助付きなのである。風呂場には大きな窓があり、近くの山を眺めながらゆっくり入浴できる。風呂から出ると、きれいに洗ってある自分の服が用意されている。古い服は脱衣かごに脱ぎ捨てておくと、また洗って返却されるそうだ。
 次に、レクリエーションが毎日のようにある。知人は音楽が好きとのことで音楽イベントにとくに参加するらしい。音楽好きが大広間に集まって、「学生時代」や「高原列車」のようななつかしい曲を歌う。
 この話を聞いて思ったのだが、昔はみなが歌える曲があった。ヒット曲は全国津々浦々老若男女みな歌えた。だから特養でも、とくべつな配慮がなくても、みなが歌える曲がある。
 僕の少年期がその最後の時代ではなかったろうか。僕がもし特養に入るとしたら、そのときはみんなで「太陽がくれた季節」とか「これが青春だ」とかを歌うだろう。これらは大ヒットではないが、きっとみな歌える。もし大ヒットということで考えれば、「泳げたいやきくん」で決まりだろう。なんだか想像すると、楽しそうである。ところで今の若い子はEXILEとか“きゃりーぱみゅぱみゅ”とかになるのだろうか。老人にはちょっと難しそうな曲である。
 次に料理だ。実際に食べていないし、見てもいないのだが、かなり立派らしい。とても美味しいという。朝は7時かららしいが、知人は5時から食堂に行くという。理由は聞いたが、その理由は僕にはよく理解できないものだった。あまりしつこく聞くのもなんなので、適当に相槌を打っていたが、とにかく早く行かなくてはいけないらしい。だからとても忙しいと楽しげに話してくれた。
 次にそこで働くひとの数とホスピタリティのレベルの高さに驚かされた。そこには約100人の老人がいるらしいが、ワーカーの数も決して少なくはない。何人か聞かなかったが、食堂にも部屋にも事務室にも、どこにもいつもワーカーがいた。みな忙しそうに働いている。この多くのワーカーがみなニコニコして優しげなのだ。知人に尋ねると、いわゆる虐待のようなものは気配もないそうだ。
 彼らを見ていて、この間行った宮古島東急リゾートのスタッフを思い出した。世界最高のサービスじゃないかとブログに書いたが、なんと近くの特養も同レベルのサービスを提供していたのだ。これには驚かされた。
 最後になるがこれら、高級リゾート並のサービスと設備が完備されていて、その料金は月額10万円に満たないという(料理、洗濯、レクリエーションなどすべてが含まれる)。これには一番驚かされた。
 知人は一人暮らしをしていたときより、ずっとお金がかからないと嬉しそうに言っていた。それは嬉しいだろう。さっき宮古島東急を例に出したが、おそらく行ったことがないがサービス、設備にプラスしてレクリエーションがあり、食事も付いていることを鑑みると、それは老人限定のクラブメッドではないだろうか。1か月10万円でクラブメッドを楽しめたら、嬉しくなくないわけがないのである。知人は「これじゃ100歳まで生きそうだわ」と、本当に幸せそうだった。これには僕も嬉しくさせられた
 申し訳ないが、特養とは暗くて汚い場所ではないかとイメージしていた。しかしそこは超リーズナブルなクラブメッドだった。知人は以前よりもずっと健康そうで幸福そうに見えた。
 ところで国がつまり国民が支払っている、その費用を考えると、ちょっと複雑な気もしたのである。

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プロフィール

山本 拓也

Author:山本 拓也
職業:翻訳者
過去の職歴:HSBCを経て産経新聞社
家族:妻、フクちゃん(猫オス 3歳)、大吉くん(猫オス 2歳)
住まい:逗子

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