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ももひきよ、さようなら


 十年以上、ももひきを愛用している。といっても白いオーソドックスなものは、ほとんど持っていない。かつて、一二着ほど持っていたことがあるが、カッコ悪いので、ヒートテックとか、その類似品を着用している。
 最近、冷え症がひどい。それに、かなりの寒がりである。
 手足はいつも冷たく、室温が二十度を超えていても寒い。ももひきを履いて、ズボンを履いて、上にはフリース、膝には毛布。そんな出で立ちで、机に向かっていた。
 ちょっと何でも、ヘンではないか。もう5月の後半である。初夏といって良い季節ではないか。あんまり寒がりの度が過ぎる。
 ももひきを愛用するようになったのは、風邪をひきたくなかったからだ。さして寒さを感じないうちから、予防のためにももひきを履くようになった。身体はいったん冷えると、温めるのに時間がかかる。ならば先手必勝、寒くなる前に着込んでしまえ、という作戦に出たのだ。
 なぜそんなにも風邪をひきたくなかったかというと、せき喘息になってしまったからだ。風邪をひくと、咳が誘発される。いったん咳が始まると、短くても半年、長いと一年も咳が続く。ようやく咳が治ったころに、冬を迎え、また風邪をひき、咳の再開。こんなサイクルから抜け出したかったのだ。
 たしかにあまり風邪はひかない。でもまったくひかないわけではない。そう考えると、ももひき作戦は成功したとは言えない。むしろ失敗したように、最近思う。前述のごとく、極端な寒がりになってしまったからだ。
 以前は寒がりではなかった。うちは母の方針で、子供時代は一年中半ズボンで過ごさせられた。さすがに雪が降った日だけは、長ズボンを許されたが、それ以外は1月でも2月でも、霜を踏みしめながら、半ズボンで過ごした。おかげで子供時代や若い頃は、寒さに強い方だった。
 若い頃、暴力バーに入ってしまったことがある。10万円を請求されて、有り金全て(1万円ぐらい)を巻き上げられた。残りの金額は、後から払う誓約書を書かされた。
 店を出て、すぐに交番に相談に行き、店長を呼び出した。2月の寒い夜だった。警察は民事不介入だから、ふたりで話し合うことになった。場所は交番の外だ。多分、気温は零度ぐらいだったと思う。ものすごく寒い日だった。店長は始終、寒さに震えていた。僕はまったく寒くなく、話し合いは店長が全面的に折れることになった。店長が寒さに耐えられなかったからだ。結果はすでに支払った一万円だけで、誓約書は返してもらった。「あー、俺って寒さに強いんだな」と、震える店長を見ながら、冷静に思ったものである。
 その僕が、20度の室内で、フリースを着て震えているのだ。やっぱりおかしい。
 ネットで調べてみた。どうも体は温め続けると、体温調整のシステムが機能しなくなるようなのだ。足の付け根と脇の周辺にセンサーがある。ここを温め続けると、体が自家発電をしなくなり、冷え症になるようなのだ。そして、寒がりにもなるのだ。
 そこで思い切って、ももひきを脱ぎ捨てることにした。一週間前のことだ。最初の1日目は寒かった。脚がなんだか、スースーして、寒い。室温は20度なのに。しかし我慢をした。むしろ昼過ぎからは、ズボンまでも脱ぎ捨て、パンツ一丁で机に向かった。ちょっと極端なのだが。とにかく足の付け根のセンサーのスイッチを入れたかったのである。
 これが正解だった。なんと、パンツ一丁で、寒さを感じなくなってきたのだ。手足も冷たくない。センサーのスイッチが入ったみたいだ。
 さすがパンツ一丁は、その日だけで止した。以降はももひきなしで、ズボンを履く。普通の装いで、通している。まだ寒いと思うこともある。でもこれから夏を迎える。きっとこれで、夏は越せるだろう。今までは夏でも、さすがももひきは履かなかったが、ステテコみたいな短めのアンダーウエアを履いていたのだが。
 夏が過ぎても、ノーももひきで、過ごしたい。身体を冷やすことはいけないという知識で、身体を甘やかしすぎてしまったようだ。
 幸田文のエッセーに、彼女は年中、薄着で通していているというものがあった。それが健康法だと信じているらしい。読んだときは、古臭い迷信だと感じた。しかしどうも僕の方が、テレビ経由の健康迷信にとらわれていたのかもしれない。

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プロフィール

山本 拓也

Author:山本 拓也
職業:翻訳者
過去の職歴:HSBCを経て産経新聞社
家族:妻、フクちゃん(猫オス 3歳)、大吉くん(猫オス 2歳)
住まい:逗子

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