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『なぜ大国は衰退するのか』から


 『なぜ大国は衰退するのか ―古代ローマから現代まで』を読んだ。同書が訴えているのは、おおざっぱに言えば、次のようなことだ。「大国が衰退するのは、共通の理由がある。それは他国との戦争や蛮族の侵入ではない。財政の悪化だ」。
 同書が例として引用しているのは、ローマ帝国、大航海時代のスペイン、明、オスマントルコ、大英帝国、そして日本だ。他にも、現代のアメリカやカリフォルニア州なども検証している。
 うん、読んでいて、唸らされた。そうか、やばいじゃないか日本は。
 かつての大国は、みな極端な財政赤字が原因で、衰退し、そして国によっては滅びてしまった。滅びちゃったのだ。この地上からなくなってしまったのだ。果たして日本もそうなるのだろうか。
 そこでネットや書籍で、財政赤字が巨額に達した例を近現代で調べてみた。例えば同書で紹介している英国。英国の場合は、戦争により財政赤字を解消していた。これがひとつの解決策のようだ。戦争して、勝って、賠償金をふんだくって、赤字を補てんするのだ。しかしこの手は、現在の日本では使えないだろう。
 もうひとつ手があるようだ。それは踏み倒してしまうことだ。アルゼンチンやエクアドルなどの南米諸国が頻繁に使っている手だ。主に海外の金融機関からの借入金を踏み倒してしまうのだ。日本は、この手も使えない。なぜなら、国が借りているのは、海外の金融機関からでなく、国民からだからだ。
 そしてもうひとつの手がある。スーパーインフレの導入だ。これは実は日本がすでに使ったことがある手だ。敗戦直後に、日本の物価は約100倍になっている。当時の財政赤字の金額は国家予算の9倍程度だった。これをインフレで乗り越えた。
 今の日本の財政赤字は国家予算の10倍程度だから、敗戦直後よりも状況は悪い。
 もうこの最後の手しか日本には残されていないようだ。あるいは、滅亡。

 仮に物価を10倍にしたとしよう。そうすると1000兆円の借金は、現在の貨幣価値でいうところの100兆円になる。日本のGDPはおおざっぱにみて、500兆円だから、対GDP比で20%となり、EU加入条件の60%以内を大きくクリアすることができる。許容される範囲である。
 これは突然10倍にした場合で、実際には何年かかかるだろう。戦後は100倍になるまで、4年程度経ている。その間に国債の償還もあるだろうし、物価変動型の国債も発行しているので、話はうんと複雑になる。が、まあ素人の概算ということで、勘弁していただきたい。
 ではこの消えてしまった、政府債務残高は、どこに行ったのか、あるいはどこから補てんされるのかというと、日本に現在、蓄積されている金融資産からだ。よく出る数字で、国内金融資産残高1600兆円というやつからである。
 この1600兆円の内訳を見る。預貯金が55%、保険・年金が28%、株式が7%、ほか投資信託や債券がちょろちょろである。
 株や投信は、ある程度、物価とリンクしているから、ダメージは少ないだろう。問題は預貯金と保険・年金の部分だ。ここに資産を集中している人は、すっからかんになる危険性がある。
 かりに物価が10倍のインフレになった場合、預貯金や年金、保険の価値は10分の1になる。例えば1000万円の貯金がある場合は、100万円(価値として)になってしまい、3000万円の生命保険に入っていても、300万円(価値として)になるということだ。
 つまり日本国内にプールされている金融資産を、財政赤字の補てんにすり替えるのだ。こうして政府は巨大な赤字を解消する。
 うーん、こわい話ですね。

 この本を読んでから、あわてて海外ETFについて調べ始めた。そうしている間に、円安はどんどん進むので、気が気ではない。

 ただ良いこともある。それは金利固定で借金をしている場合だ。我が家は、まさにその例である。この家は、30年の固定金利で購入した。かりに物価が10倍になれば、家の価格は10倍になるのに(hopefully)、借金は10分の1になるのだ。
 預貯金はすみやかに海外投資に置き換える。保険や年金の部分は資産の目減りを回避することはできないが、借金をしていれば、その分で多少の穴埋めはできる。傷はそれほど受けないで、済む(かもしれない)。

 このように国が借金まみれになったのは、年金や医療保険などのエンタイトルメントが不可逆的に増加しているためだ。それなのに、ほとんどの政党は、未だに社会福祉の強化を政策にかかげている。無責任極まりないが、これは国民がそう望んでいるから、仕方がないともいえる。民主制の構造的欠陥なのだ。この欠陥に対応する手も、あることはあるようなのだが、説明が難しいので、今回は触れない。興味のある方は、同書で確認いただきたい。
 

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プロフィール

山本 拓也

Author:山本 拓也
職業:翻訳者
過去の職歴:HSBCを経て産経新聞社
家族:妻、フクちゃん(猫オス 3歳)、大吉くん(猫オス 2歳)
住まい:逗子

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